
ディー・エヌ・エー会長
南場 智子氏
86年津田塾大学芸学部卒
新社会人は同期より自分が成長できてきるかどうかを気にしがちだ。
かく言う私も米コンサルティング会社の
マッキンゼー・アンド・カンパニーに
入社した当初は自分の価値を見出すのに必死だった。
肩に力が入り、仕事が空回りすることが多かった。
ただあるプロジェクトで他の人から評価を気にせずに
目の前の業務に没頭したとき、ようやく仕事の楽しさに気づいた。
その経験は自分の宝物になった。
意識を自分でも他人でもなく仕事そのものに向けることは、
当社の行動規範にも掲げている。
1つの会社で退職するまで働く時代は終わりつつある。
将来は案件ごとに最適な人材が世界中から集まって、
目標を達成したらその果実を分け合って解散する
働き方になるのではないだろうか。
会社の名刺やブランドが無いと働けない人は
AI(人工知能)などと競合する人材になってしまう。
ただ、一度選んだ会社でまずは夢中になって仕事することも大事だ。
3~5年と期限をきめてまずは仕事に没頭してみよう。
成長や評価はその後についてくる。
うまくいかないときは必ずあるが、
それを環境のせいにしてしまうと拾えたはずの宝物を逃してしまう。
簡単な成功は人を成長させてくれない。
もし私が20代なら、プログラミングなどモノを作れる技術を身につけたい。
産業がIT(情報技術)によって次の次元にシフトしていくなか、
プログラミングは重要だ。
最近は優秀な若者が起業する動きが出ている。
彼らは必ずしも大企業に入社することが答えではないと認識している。
ただ起業もいいが、就職するならば新しい企業で
仕事を任せてくれ、挑戦の機会のある会社に入りたい。
大企業は業務の一部を任せるだけ。
自分たちで試行錯誤しながら工夫し、
市場を生み出すほうが成長に近づける。
「千本ノック」が自分の成長につながる。
就職するなら周囲の仕事のレベルが高いのが望ましい。
新入社員は乾いたスポンジだ。
どうせならいい水を吸うべきだ。
大きな仕事に取り組んでいる先輩の背中を追っていれば、
数年後自分もそうなっている。
ミスがゼロでは進歩は無く、
ミスを恐れてはいけない。
ただミスには起こしていいミスとダメなミスがある。
まとめ記事サイト(キュレーション)事業の著作権問題は起こしてはいけないミスだった。
コンサルティング会社などが指南する謝罪のテクニックなどには頼らず、
誠心誠意ミスに向き合うしかない。
正直に全貌を伝えてミスを償った結果、
当社もここまでやってこれた。
人間には本質的に
「役に立ちたい」
「社会に必要とされたい」
という欲求がある。
企業も同じだ。
競争に勝ち残って株式時価総額を大きくするだけの会社はもう魅力的ではない。
消費者の楽しみや利便性の向上にどれだけ貢献できたかが企業にとって重要となる。
ポスト平成時代には「GAFA」に次ぐ新たなヒーローとなる企業が現れるだろう。
当社もその地位を狙っていきたい。
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