【人間関係に向き合おう】

国連事務総長特別代表

水鳥 真美氏

83年一橋大法卒。

外務省で安全保障政策課長などを歴任した後、

2018年3月に日本人女性で初めて国連の事務総長特別代表に就任。

防災担当のトップとして地震や津波対策の陣頭指揮をとる。

東京都出身。

 

仕事は人生の糧だ。

だが、理想と現実のギャップなど最初は誰もがある種の虚無感を感じる。

自分が打ち込める仕事になれば最高だが、そう簡単ではない。

自分から努力して研鑽を積み、少しずつ手応えを得る。

その積み重ねが大事だ。

 

私が就職した1983年は男女雇用機会均等法が制定される前だった。

女性は中核的な戦力にはならない。

民間企業にはそんな考え方があった。

子どものころから国際社会の役に立ちたいというという思いが強く、

性別に左右されない職場がいいと考え、外務省に入った。

 

新人時代は中南米局に配属され、下っ端としてとにかく動き回った。

昼は資料の整理、夜になると担当官と一緒に国会で待機し、

議員からの質問への答弁書を作る。

アタマで考えるのではなく、体を動かし人の話を聞いて「慣れろ」というスタイルには正直、

とまどったことも多々あった。

 

社会人になれば、初めての経験として上司を持つことになる。

世代も考え方も違う人と人間関係を築かなければならない。

最初はある程度の「我慢」は必要だ。

パワハラやセクハラは論外だが、

どこの職場も大なり小なり似たような問題はある。

私も上司との関係で悩んだことがあったが、

気分転換の時間を作るなど仕事以外で楽しみを見つけて乗り越えていった。

 

昔、何人かの若手職員から仕事を辞めたいと相談を受けた時には、

いつもこう助言していた。

「人間関係が理由なら考え直したほうがいい。」

 

組織の人間関係をうまく対処できなければ、

国家間の交渉なんて到底できない。

上司の要求が厳しすぎれば、対話をする。

相手がどういう性格化を分析し、

工夫して向き合うことも必要になる。

 

もちろん新しく挑戦したいことができたら、

どんどん転職すればいい。

私はロンドンの大使館で文化広報を担当し、

日本の「ソフトパワー」のすごさを感じた。

それもあって日本の文化・芸術を紹介するセインズベリー日本芸術研究所に移り、

所長を務めた。

 

現在の国連国際防災戦略事務局(UNISDR)代表の仕事は、

私にとって2度目の公の仕事だ。

日本は自然災害が多く、防災分野でリーダーシップをとれると思っている。

世界では紛争よりも自然災害で難民になる人が多い。

災害が起きてから対応したのでは遅い。

アジアやアフリカなど各地に足を運び、

政府や住民にリスクに「備える」重要性を訴えている。

 

公の仕事のやりがいは個人や企業のあらゆる活動の基盤をつくることに尽きる。

日本では政府のために働きたいと思う若者が減っていると聞くが、

率直に言って残念だ。

公の仕事の社会的地位が下がり、批判の対象になっているのが一因だろう。

 

公の仕事が絶対とは全く思わないが、やりがいは大きい。

きちんと仕事の中身や働く人が評価されるような流れができれば、

人気が戻るのではないか。

これから若者にどんどん公の仕事を担ってほしい。

それは国力に直結する。

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